舞剣手にして獣王に挑むまいけんてにしてじゅうおうにいどむ

本質を外した思考による致命的な勘違いのこと。

獣王とは、ルグディール大陸最大最強の捕食生物アルナディールのことであり、舞剣は、ラヴェニール文明時代の舞踏「リューズ」で使用される、「人類が生み出した最も美しい人工物」とまで言われる剣。舞剣の使い手、つまりセレンディール人が人間離れして強いのは事実だが、それは舞剣によるものではなく、それは人間離れした身体能力などによるものであって、常人が舞剣を手にしたところで、アルナディールに対抗など出来るはずもない、の意から。


訳注

アルナディール:ルグディール大陸に生息する、全長20mほどになる超大型肉食獣。古代から、強さや勇猛さの象徴として、武器や防具、建物の装飾、絵画などの題材とされてきた。

舞剣:一般に「舞剣」と言った場合、ラヴェニール文明時代の舞踏「リューズ」で使用される「人類が生み出した最も美しい物」とまで絶賛される美しい剣を指すことが多い。材料となる複数の金属や化学物質の配合および鍛造法、磨きなどの、複雑且つ精緻を極める工程により、微かな燐光を放ちながら見る角度によって繊細に変化する玄妙な色合いや高雅な質感、流麗且つ精巧な形状により、見る者を魅了する。

セレンディール人:ラヴェニール文明が「美の追究」の為に創り上げた、人間離れした美貌、身体能力などを持つ伝説的な人種。リューズという、セレンディール人にしか踊れないラヴェニール文明時代の舞踏芸術は、常軌を逸した訓練と予算によって神懸かり的な技芸の域に達し、観るものを魅了した。この舞踊は命懸けの実戦形式となっており、美の象徴であるセレンディール人の対照として、犯罪者や奴隷、平民を敵役として出演させた。その多くはほぼ確実に死に至ったが、もし演舞中に、セレンディール人の髪に触れることができれば、莫大な報奨金及び身分の昇格といった栄誉、犯罪者であれば恩赦が与えられた為、志願者は後を絶たなかったという。ラヴェニール文明の象徴的な存在。


参考文献

『生物種類別ことわざ辞典「アルナディール」』(ディレル・アーティ)

『アルナディールの教科書:最強の捕食者のすべて』(ダール・ライ / ジュザ・ナレ)

『アルナディールの博物誌』(アルナディール博物館)

『舞剣事典』(ラヴェニール舞踏院 / 編)

『リューズの舞剣』(サーディ・グレン)

『セレンディール人研究』(レーネル・レヴィク)


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