地下を広げるちかをひろげる

復讐の準備を進めること。

世界中の船乗り達の間で語り継がれてきた伝説『復讐の迷宮』が由来。


『復讐の迷宮』あらすじ(語り手によって内容は多少、変化する)

前王を謀殺し、新たに即位した暴虐な若い王の戯れで、前王の親友だった大貴族が永久禁固の刑に処せられ、妻や息子、腹心の部下達は皆殺しにされ、娘達も凌辱された上に殺された。王は貴族に、禁固先の島に自らの財を全て使って宮殿を建てさせ、そこに住むように命じた。そして王位を授けた。最も贅沢な城に住む最も不幸な王を作って遊ぶつもりだったのである。貴族は宮殿を建てた。

数十年経ったある日、王は、この孤島の「王」を思い出し、なぶってやろうという軽い気持ちから、島に来た。中に入るが、誰もいない。部下達に命じて徹底的な捜索を行った結果、地下への入り口が見つかる。王は笑い、中に隠れている哀れな老王を引きずり出してこいと部下に命じて待つが、なかなか戻ってこないので、更に兵士達も投入するが、やはり戻ってこない。業を煮やした王は、自ら残った兵を率いて地下迷宮に入っていった。

数十日後、王は生きながらに切り刻まれ、凄惨な拷問を受けたであろうことが一目で分かる無惨な死体となって戻ってきた。王の遺体を運んできた部下たちも全員が発狂していた。王子達は父王を愛していたわけではなかったが、体裁上、大軍を派遣して孤島の老王の討伐を命じた。だが、その大軍もやはり戻ってこなかった。その後も何度か派兵をするが、結局、誰一人戻ってこなかった為、迷宮は入口を封印され、その島に近づくことを厳重に禁じられた。

その後、王子たちのうちの一人が王になったが、最後の王となった。国が無くなったのだ。ある朝、この王国の港に着いた商船の乗組員たちは、恐怖した。誰もいなかった。王も貴族も民も、一人残らず、消えていた。

いつしかその島の位置は地図からも消え去り、伝説だけが残った。船乗り達の間では、この迷宮の奥では復讐に狂った王がまだ生きていて、討伐隊の兵士達や消えた王国の人々を奴隷にして迷宮を広げ続けていると信じられている。船乗り達は、例えどんなに盛り上がっている時でも、この話を海上で冗談めかして話したりはしない。「復讐の王」に呼ばれ、自分も奴隷にされると恐れているからだ。


参考文献

『復讐の迷宮』(ゼヴィ・ネレイーク)


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