ラシードのレムール殺しらしーどのれむーるごろし

不可能だと思われていたことが可能であると証明されること。

レムールは最大最強の捕食者として恐れられ、「野獣の王」と呼ばれている。古代より多くの神話や伝説、民話などでその強さを称えられてきた。個体数は非常に少ないが、遭遇すれば死は確実と言われ、「絶対の死」の象徴にもなっている。民族や村もろとも滅ぼされた実例すらあるほどである。人間が単独で相手にできるような存在ではない。

「レムール殺し」は言い回し、ニュアンスなどに多少の差異はあれ、古くから、世界中で「不可能なこと」「試みてはならないこと」「(個としての)人間の限界」を表す言葉として残っている。

そのレムールを単独で殺した人物が実在する。それがセレンディール文明創始者ラヴェニールの側につき、超大国レゴールやヴェリアートなどと戦った、ザヴァール族の伝説的な族長であるラシードである。

ただし本人は、レムール殺しに関してはかなり否定的に捉えていたらしい。万に一つもないような幸運がいくつか重なったこと、そして妻(注・この時点では妻ではなかったが、直後にラシードが求婚し、夫婦となった)の命懸けの勇気ある行動によるもので、自分自身の力はほととんど介在していなかったと語り、もし今後、レムールと一万回戦わされることになったら、一万回とも、あっさり殺されると断言して憚らなかったという。反レゴール側のプロパガンダ的に流布されていたことに対する不快感もあったらしい。


参考文献

『生物種類別ことわざ辞典「レムール」』(ディレル・アーティ)


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