クルムが木に登るか賭けようと持ちかけるくるむがきにのぼるかかけようともちかける

詐欺を働くこと。


『テルンの知恵』(ゼーディ・ネルティ)より一部抜粋

「クルムが木に登るか賭けようと持ちかける」

これは古代から温泉街として有名なテルンのことわざだ。テルンには、このことわざにちなんで、木に登ったキノボリクルムを見て驚いている人の様子を彫った彫像やイラストなどがよく飾られており、名物として土産にもなっている。

ルムはもちろん、水棲生物で、川や湖などに棲んでいる。だが、キノボリクルムという、名の通り木登りをするクルムがいる。

現代ならドキュメンタリー番組などでもお馴染みだが、昔は、キノボリクルムの存在を知っている人のほうが少なかったであろう。そこに目を付け、

「俺はクルムを木に登らせることができるぜ?」

「噓つけ」

「いや、本当だ」

「噓つくなって」

「いーやマジだ。じゃあ、証明したら金払うか?」

「噓なら、お前のほうこそ払えよ」

と、うまく賭け事に誘導し、自分が飼っているキノボリクルムに木登りをさせ、金を巻き上げたのだ。

こういったことは実際によくあったことのようで、裁判記録や昔の小説、民話などでも確認できる。

現代でも形を変えた「クルムが木に登るか賭けようと持ちかける」不届き者はいくらでもいる。昔の人の知恵に学び、こういう輩に騙されないよう、賢く生きようではないか。


訳注

クルム:小型の水棲生物。尾びれの前にある大きなトゲ(クルムトゲ)が特徴。丸っこい体型につぶらな瞳、性質は穏やかで知性も高く、好奇心旺盛で人にもよく馴れる上に、種ごとに非常にバリエーション豊かな模様・色彩を持つため、古代から親しまれてきた。熱烈な愛好家が多く、「クルムの集い」なる世界的なクルム愛好組織があるほど。


参考文献

『テルンの知恵』(ゼーディ・ネルティ)

『生物種類別ことわざ辞典「クルム」』(ディレル・アーティ)


類義・対義

類義:「ボフリ馴らしを吹聴する」


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